始まりは空舞うチョークと共に

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「った!?」 的確に狙いの額に的中したチョークは粉々に砕けた それほど強い力で投げ付けられたのだろう 尋常ではない 投げ付けられた少年はキッと投げ付けた人間を睨む しかしその容姿で睨まれても微笑むぐらいかわいらしくしか見えないのだが 「なんだ、アルゴル。そんなかわいらしーく睨んだって俺はときめかねぇよ。」 「っ!?な!?」 アルゴルと呼ばれた少年は立ち上がり、辺りを見渡す クラス中の人間がアルゴルを見ていた 目が合うと、女子は照れながら目を反らす 男子はそのまま指笛を吹いたり、「かっわいーぞ、アル!」などと叫ぶ アルゴルは口元をひきつらせ、はぁとため息をつくと、どさっとまた自分の椅子に座った 「よーし、んじゃ授業始めんぞ~。」 がたいのいい男性教師がまた黒板に文字をかき始める アルゴル――通称アルは肘をついて、机上の広げられた教科書に視線を落とす そこには『世界ビジューボイドのあけぼの』とかかれていた アルゴルはまた目をつぶった 教師の声が遠くなる 「・・この世界は・・・」 ――この世界には神歴時代という時代がある
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