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「副会長さては嫉妬しちゃった?」
「さあ、どうですかね」
疲労感が体全体にのしかかり、返答が適当なものになってしまう。
しかし彼は満足そうに微笑むと入り口に視線を向けた。
「だけど副会長に迷惑をかけすぎだ、ちゃんと謝れよ」
慌てて起きあがり、同様に視線を向ける。自然と紅潮する頬を手で抑えて隠した。冷え性の指先は頬の熱をじんわりと奪うが、あっというまに指先は生ぬるくなった。
「・・・・・・ふん」
もう見慣れた、つんとさせた唇に愛らしい容姿、この姿を見て異性とは思えなかった。
「こんなに迷惑かけたんだ、ちゃんと謝れ」
まさに蛇に睨まれた蛙のように萎縮してしっまったロールパン。冷ややかな視線の会長にいつもの陽気さや、優しさはなかった。
少し涙目になったロールパンは視線を泳がせる。
「・・・・・・もういいです。もう可哀想なので睨まないであげて下さい。
あと、曲がったなりに会長を思ってした事ですし。会長に怒られたらこの子がちょっと可哀想です」
自分でも甘いと思うが、これ以上会長の機嫌を悪くさせたくなかった。
「でも少し訂正をさせて頂ければ、あの人の隣に居るのは私ではなく、私の隣に居るのがあの人ですよ。
なんせ彼は私の事を監禁したい程、私の事が好きらしいので」
ちょっと恥ずかしいが言ってやったと、心の内でガッツポーズをとった。
「副会長がちょっと攻めてます?」
「いやあ、あの人は仕事の鬼だからね。もとからその要素はあったんだなー」
口をあんぐりとさせたロールパンの後ろから会計の彼女と書記の彼が入ってくる。
隠れて様子を眺めていたお咎めは後にするが、久しぶりにそろったメンバーにほっとした。
「おまえらここは気をきかせて副会長と二人にしろよ」
肩を抱き寄せようとする会長の手を避け、調子にのるなと睨む。
「まあ会長は副会長にぞっこんですからねえ」
書記くんが頷きながら、会計の彼女の話しを聞く。
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