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彼女は待ち合わせの駅に着くと、本屋と雑貨を見て喫茶店に入る。
可愛い物が好きな彼女は見ているだけで幸せなようだ。
本当は彼女が欲しいものは僕が全部買ってあげたいんだけど。
喫茶店がある通りの向かいにあるコンビニで、立ち読みをするフリをして彼女の様子を見る。
「あのー、お一人ですか?」
イライラする。
彼女以外の汚い哺乳類女に話し掛けられる。
二人組のそれは僕の嫌いな下品な部類。
無視してここを離れるのが正解だが、移動しては彼女を見る場所を失ってしまう。
「いえ、待ち合わせで」
表情を無にして返事をする。
余計な愛想を振り撒いてしまうと後々面倒だから。
「彼女もちなんだあ」
「いこー」
散れ、早く去ってしまえ。
視線を喫茶店に移すと彼女の姿が無かった。
(――!)
モタモタしている女の間に割り込み、急いでコンビニを出る。
後ろから悪態をつく哺乳類を無視して、慌てて喫茶店の様子を見る。
彼女の姿が見えず、慌てて喫茶店内へ入ってしまった。
「……あれ?」
(――しまった!)
レジの影にあった化粧室の扉からひょっこり顔を覗かせた彼女
きょとんとした顔と、艶のある唇に胸が高鳴るが、冷静さを欠いてはいけないと律する。その唇に使ったリップは今度、拝借しようと小さく決意した。
「……灰田さんも休憩?
外、暑いよねー」
お互いを認識しては声をかけなければ不自然だ。一応、彼女とはクラスメイトだから彼女も僕を認識している。
しかし、この後に彼女を追跡するのが多少困難となってしまう。
「あ、うん。私は待ち合わせ……のはずだったんだけど」
手に持った携帯を見て彼女は答える。待ち合わせ場所が変わったのか?
「どうかしたの?」
思わず聞いてしまった。
不安そうな彼女の表情は魅力て…ではなく心配してしまう
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