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その後は彼女とカフェを連続で巡り、食べれるだけの甘い物を食べた。
幸せそうな彼女を写真に収めたい気持ちに駆られたが、我慢をした。
そして、夕方になり彼女との時間は残り僅かだ。
公園のベンチに座って、今日食べたものの感想を彼女が話す。
僕にとったらどんな美味しいものより、彼女の方が美味しそうに見えてしまう。
彼女はどんなに甘いんだろう。
彼女はどんなに柔らかいのだろう。
その頬は甘酸っぱい苺のようだ。
その濡れた唇はまるで蜂蜜のようだ。
考えたらキリがない。
「蜂矢くん?」
彼女の声で現実へと戻る。
「今日はありがとう。すごい楽しかった!
蜂矢くんがスイーツ好きとは思わなかったよ。また迷惑じゃなかったら一緒に行こうね」
無垢な笑顔を向ける。
ダメだよ。僕にそんな顔をしたら。
「僕も楽しかった。また行こうね」
「私、今日はもう帰るね。また明日学校でね」
ぱたぱたと走って行く彼女。
今日は彼女の楽しみにしてるドラマの日だ。この日はいつも早く家に帰り、早めの入浴だ。
手を振り、彼女を見送る。
早く僕も帰らなきゃ。
勿論、彼女と鉢合わせないように。
ご機嫌な僕は少し鼻歌まじりに歩き出す。
自分で歌うと実感するが、やっぱり彼女の鼻歌は少しヘタだと思ってしまった。
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