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ハッとしたわ。
だってそうでしょ~?
もう飛行機が離陸する時間だったのよ~。
あたしの悲鳴であわてて夫も起きたけど……もう遅かったわ。
でもわたしも彼もあきらめなかったの。
だって、当時バリバリのやり手商社マンだった夫が、あたしのためにって無理してやっとつくってくれた時間だったから。
それはもうふたりしてすごい形相で支度して、家を飛び出したんだよ。
けど……ね──
タクシーの中で、彼ったら泣きだしちゃうのよ?
運転手さんもすごい気にしてくれてたけど、なんだかわたしが泣かせたみたいに思われた気がしてさ。
もう箱があるなら入りたいって、そう思ったわ。
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