519人が本棚に入れています
本棚に追加
ここはグランハイム辺境の孤島にある小さな村……
木造作りの住宅が主流の古い町並み。
その村の中央広場で少年が、木造の十字架に高々とくくりつけられている。
そして少年を中心に半径10mぐらいを木の枠で正方形に囲い、その枠の外には観衆で溢れかえる。
少年の両脇には、竹槍を持った二人の中年の親父。
そして少年の前には黒フードを被った老婆。
「汝……エンド・フロスティを、死神の子、故に町に災いをもたらす存在と称し、ここに処する……何か言い残す事はあるか?」
エンドと呼ばれた木にくくりつけられた少年は、齢15ぐらいの黒髪、セミロングで、目は前髪に隠れて見えない。
「婆さん。鼻毛出てますよ」
エンドは冷めた声でいい放つ。
「ぷっ!」
中年の一人が笑う。そして、もう一人の中年はさりげなく老婆の鼻の穴を見ている。
「なっ……うるさーい!もう処刑じゃ!処刑!早く串刺しにするのじゃ!」
婆さんの怒りの声に、二人は慌てて槍を構える。一人は笑いを堪え、もう一人は老婆の鼻の穴を気にしながら……
「構えーい!」
既に槍を構えてるのに……との突っ込みは置いといて…
「(あぁ……短い人生だったな)」
エンドは死を間近にしても冷静さを保つ。
「スタット!」
多分スタートと言いたかったのだろう。
慣れない老婆の格好つけた横文字は、またまた置いといて、いよいよエンドの処刑が開始されようとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!