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凄まじい音と、巻き上がる砂埃で、空から何か落ちてきたのは分かる。
しかし、その砂埃が視界を遮り、何が落ちてきたのか全く状況が掴めないでいた。
「なに……?」
エンドを殺せと騒いでいた民衆も、方唾を飲み静かに砂埃が収まるのを眺めている。
その空を舞う砂埃が重力に従いながら地面へと還り、徐々に視界が晴れてくると、そこに一人の人影が見えてくる。
「なっ……なんなんじゃ」
視界は完全に冴え渡ると、そこには……
「さて……この村よね」
金のロングストレートヘアーで前髪は目の上で揃え、赤いキャミソールにジーパンを履いた、16、17歳ぐらいの少女が立っていた。
一見普通の少女に見えるが、2つ普通ではない事がある。
一つは空から降りて来た事。
もう一つは……
大きな鎌を携えている事。
「あっ……あの大鎌は……まさか死神か?」
そう彼女は死神だった。
少女が携える大鎌から、それに気付いた老婆は怯えていた。
「何なんだ……あの子は」
「何で空から?」
それに気付かない中年二人と周りの観衆はざわめいている。
そんな中少女が口を開く。
「グロム・フロスティは何処?」
静かに放たれた言葉だが、その言葉には慌てふためいている観衆の耳まで届く存在感があった。
その言葉を聞いた観衆は、騒ぐのを止め、静かに少女の次の言葉を待つ。
皆に注目されながらも平然としている少女。
そう……この少女の出現から、物語の本質が幕をあげるのだった。
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