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「もう一度言うぜ…グロム=フロスティは何処?」
そんなルピの質問に答える者はいなかった。
いや、答えられないと言うべきか。
「それならおれの右後ろにいるよ」
答える者がいない中、エンドが少女に教える。
「サンキュー!少年!」
そのエンドの言葉に笑顔で馴れ馴れしくお礼を言う少女。
そして……
「初めまして!グロム様!私は死神のルピ=グラナード!嘗ての英雄である、貴方様の力を借りたく参りました!」
ルピと名乗った少女は、方膝を付き頭を下げると、エンドを筋肉質にして、ちょっと老けさせた様な男に言い放つ。
「グロム様……?」
しかしグロムと呼ばれた男からの返事はなかった。
「もう死んでるよ」
そう、グロムはエンドと同じ様に、木にくくりつけられ全身から血を滲ませている。
つまりは処刑された後だった。
「えっ?死んでる?」
「見たら分かるっしょ」
木に括り付けられ血を滲ませているにも、言われるまで気付かない。
そんな死神に、エンドは溜め息混じりに軽く言い放つ。
「てめえがグロム様をこんな無惨な目にあわせたのかぁぁ!!」
そして、逆上したルピは、木にくくりつけられたエンドの胸ぐらを掴む。
「いやいや。何処をどう見たら、そういう結論に辿り着くのさ。見ての通り僕も今からその無惨な目にあうとこ。あっ…半分無惨な目にあってるから服を締め付けると、傷口が痛むんだけど」
途中参加とはいえ、今からおれも処刑されるの見て分からないのかな。
等の思いを胸に、ペラペラ軽く言い放つ、何処か余裕のエンド。
「あぁ。冗談だ。わりぃ」
そして、言われた当人は、エンドが犯人じゃない事に気付いていた。
人の死を前に、冗談を言える程の余裕があるのは、どうやらこの少女も同じらしい。
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