白い空

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空は良い。何も考えずにスロットル開けてかっ飛ばすだけで自由になれる。 子供の頃から飛行機が好きだった俺は、17になった時に統合軍パイロット科に入隊した。 ロイ・フォッカー賞を2度も貰ったからか知らんが、その功績からかエンドラの地で新型機のテストをやらされている。戦争も無く、平和だねぇ~。 そんな風にボヤッとしていると、このまったりした雰囲気を壊すかの如くコンソールから怒鳴り声が聞こえた。 「こらっ!クラウド。あんた何考えてんの?」 「何って………インスピレーション。」 声の主は、俺の幼なじみであり専属のオペレーターのルキア・フレイストークである。 朱色のロングヘアーに青い瞳が特長の客観的目線で見れば美少女なのだろうが、俺からしてみると赤鬼以外の何者でもない! 「あんた、ジョーダンかましてないで、サッサと評価飛行始めなさいよ!」 「ヘイヘイ。解ったよ。」 俺は言われるがままにスロットルをいれる。 こうなった時のルキアは逆らうと後が怖い。 「こちらファルコン・デルタ。これより航空機動試験を始める。」 YF-23A「アルビオン」は統合軍がVF-19に代わる特殊機に選出されてる新型のバルキリーだ。 少々ワイドなW形状の翼の機体はVF-19より一回り大きなデザインだ。ピンポイントバリアシステムを始めとする2040年代の技術の粋を集めた次世代機だ。
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