風邪に御用心

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一年の殆どが厚い雲に覆われている八雲村。 そんな村にも、白いモノがチラホラと舞い降りて来る季節が到来した。 普段から出不精な傾向にある村民が、益々家に籠る事が多くなるこの時期。 人々の楽しみも所謂ソッチ系の方向に向かう訳で、大体この時期に子供が授かる傾向が見られる様である。 そんな冬の一コマ。 「うあ"~…こりゃ鼻風邪だけじゃ済まねえかな?」 枕元にティッシュを置いて、鼻水と格闘する玲一。 どうやら何処かから風邪を貰ってきたみたいである。 頭がボーッとしてきた。 そしてとても怠い。 「普段から身体鍛えてないからだよ。不摂生が祟ったんだよね、きっと」 義姉の織がタオルを絞って玲一の額に乗せる。 「…うるさいなあ…ほんの数ヶ月前、身体を鍛えておきながら風邪ひいた人、俺知ってんだけど…」 「あ、あれは玲一がその、ほら、台所でああいう事するから…」 「あまつさえ風邪をひきながら、いたいけな義弟の唇を奪って風邪を伝染そうとしたよね?きっと織姉がひいた風邪は潜伏期間が長い新種の風邪ウィルスなんだよ。それが今俺の身体を蝕んで…ああ、酷い義姉の犠牲になった哀れな俺…」 「………看病止めるぞ?」 むくれる織。 「そんな危険なウィルスならまた伝染する可能性があるからね。私、美晴ちゃんトコに暫くお世話になるから独りでうなされてれば?」 「す、すんません!俺調子こいてました!織姉が居ないと多分俺ダメなんです!」 怠い身体に鞭打って泣きながらベッドの上で土下座する玲一。 「フフ…はいはい、分かったから早く横になりなさい。これ以上悪化されても困るからさ」 苦笑しながら玲一を寝かせる織。
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