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「大体さ…私が玲一の事をほっといて隣りの世話になる訳ないでしょ?病気した時お互いに面倒を見る。それが約束だからね」
そう言って、玲一の額に再びタオルを乗せる織。
幼い頃から父母と別居状態だった二人が交わした約束。
それは今までも、これからも決して破られる事の無い固い誓い。
「ん…ほんとこういう時、一番頼れるのは織姉だから…」
熱で潤んだ目で織を見つめる玲一。
「お互い様、お互い様…じゃ、少し寝ておきなさい。風邪に打ち勝つには体力回復が一番だからね」
「………織姉に再び伝染すって手もあるかな?」
玲一の冗談の意味に気付いて顔を赤らめる織。
「ば、馬鹿っ!体力回復って言った矢先にそんな…」
「へえ?この前潤んだ目で俺を見つめて、おねだりした人が言う台詞なワケ?」
「うう…んもうっ!分かったわよっ!」
そう言って枕元に座る織。
「キス…だけだからね?」
「ん…」
ゆっくりと顔を近付ける二人。
軽めのキスから少し深めに。
互いの舌先を刺激しあい、やがて絡め合う。
「ん…」
「はぁ…れい…いちぃ…これ以上すると…おかしくなりそうだよぉ…」
顔を離して玲一に言う織。
興奮したせいか、顔が火照ってきている。
「やだ…もう少し…織姉と…したい」
「ばかぁ…どうなっても…知らないからね?」
再び顔を近付ける二人。
その時――
呼び鈴が来客を告げる。
「あ、あら、誰かな?美晴ちゃんかな?ちょっと見てくるね!」
慌てて顔を離して、玲一の部屋から出て行く織。
「ちぇ…誰だよ、こんな時に」
途中で打ち切られて悶々とする玲一だった。
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