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「具合はどう?」
「美晴ちゃんから玲一君の事聞いて、お見舞いに来たんだよ~」
「司…月香さんも…?」
来客は玲一と何とも説明し難い奇妙な関係にある二人組、司と月香だった。
「…ワタシ、前から気になってたんだけど。同じ年なのにどうして月香だけ、さん付けなの?ワタシに何か含む所でもあるの?」
「ほらぁ、私は司と違って包容力っていうか母性的っていうか、そこら辺の差だと思うの。きっと玲一君はお母さんの愛に飢えているんだよ。だから、ね?」
「ふ、ふ~ん………母の愛と姉の愛には充分に満たされてるワケね?ワタシ如きの愛なんかどうでもいいんだ?だから呼び捨てなんだ?」
不満気な司。
「な、なんで呼び方でそんな責められる訳?いや、まあ確かに雰囲気的に月香さんの方が司よりその…」
「その…何よ?」
「甘えたくなる…っていうかさ…」
何で風邪ひいてる時に、責められたり言い訳したりしなきゃならないんだろ?
人の世の理不尽さを感じる玲一だった。
「うふふ~、幾らでも甘えていいんだよぉ?私、玲一君にならいつでも、おっぱいを貸してあげるからね?」
御機嫌な月香。
「玲一…ひょっとしてお前、月香さんとそういう仲なの?」
尋ねる織に玲一は起き上がって首を横に振る。
「ち、違うって!確かに知り合いだけど付き合うとかそんな仲じゃないから!」
「ちょ、そんな力強く否定しなくても!別に玲一が月香さんと付き合うのに反対してる訳じゃないし!それに私達、そういう約束でしょ?」
「違うんだったら!」
眉を顰める織に力一杯反論する玲一。
「じゃあ司さんはどうなのよ?むしろ私的には司さんの方が玲一と気安い関係にある様に見えたけど?呼び捨てにするって事は、それだけ親しい関係なんじゃないの?」
「うう…そ、それは…」
確かに月香より少しだけ付き合いも長いし、織とは違った意味で頼りにしている部分がある。
ひょっとしてその辺りが無意識に司を呼び捨てにするという事に繋がっていたのだろうか?
「あらぁ…なんだぁ…そうだったのね?玲一ってばそれならそうとはっきり言ってくれれば、ワタシだってこんなに悶々としなくても良かったのに。後で目一杯サービスしてあげるね?お口がいい?それとも…」
途端に機嫌が良くなる司。
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