第一章

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俺は自分の姿を鏡に映した。 二重瞼にきりっとしたまゆ毛、高い鼻、シャープな輪郭。 今、目の前にあるのは、誰がどう見てもかっこいいと思うような顔だ。 それが自分自身であるということに俺はまだ慣れていない。 小さい頃から俺はよくいじめられていた。 いつもいつも不細工と言われ、物をぶつけられ、隠され、散々酷い目にあってきた。 当然のように友達と呼べる人はいなくて、いつも一人だった。 全ては顔の所為だと思った。 人はすぐに外見で判断をする。 だから整形手術を受けたのだ。 細みのスーツを着て、髪もワックスで整える。 財布と携帯だけをポケットに入れると靴を履き、家を出た。
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