魅せられて

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居酒屋のカウンターに、1人で酒を飲んでいる青年がいた。 「待たせたな、一郎」 そこに大柄な男がやってきた。 「実朝(サネトモ)と呼んで下さいよ、先輩」 「相変わらず源頼朝を崇拝してんだな。頼朝を名乗れよ」 青年の本名は一郎だが、周りに実朝と呼ばせているらしい。 「それはおこがましいので、頼朝の息子の実朝と名乗るんです。…個人的に実朝の兄、頼家は好きじゃないので」 「一郎だったら呼びやすいし、100年ぐらい前の野球のスターと同じ名前なのにな。…まあいい、何の用だ?」 「先輩」が実朝の隣に座った。 「先輩がレーカの取引に詳しいと聞いたもので」
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