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エルが口を挟む。
「何かそれってお姉さんの心境っていうより。お母さんの心境だね。」
ルチーナがクスリと笑い答える。
「ん、そんな所。」
エルの言う通り。確かにルチーナはプルツーを妹としてではなく、母親として見ていることが多々あった。
なにしろ今でもルチーナは、自分が母親にして貰いたかったことをプルツーにしてあげる、という思いを持っているのだから。
この考えはこれからも持っていくだろう。
「でも、ルチーナ達ってホントいい関係だよね。見てて微笑ましいぐらいに。」
「え?」
ルチーナがモンドの言葉にピクリと我に返った。
僅かに笑みを作って続けるモンド。
「多分、悲しいことばかりのこの時代に、ルチーナ達みたいな人間が居ることに心が癒されているんだろうな。
正直、色々とやってくれたプルツーに心が安らぐよ、、、、って」
ここまで言って、不意に表情を崩して口を開く。
「ゴメン、俺。ちょっとカッコつけすぎだね。」
エルが首を横に振る。
「ううん。そんな事無いって、無いって。あたしもそれ賛成だよ。」
「俺、はんた~い。」
その言葉に今まで沈黙を保っていたビーチャが、つまらなそうに手を挙げて彼女の口調の真似をした。
同時に隣のテーブルについていた子供が、親に怒られて鳴き声をあげた。
ビーチャがモンドの顔を呆れた顔で覗き込み、口を開く。
「お前バッカじゃねーの。あの女に心が安らぐだなんてよ。」
「け、けどさビーチャ、、、、。」
言葉を辛そうに返そうとするモンド。
「けどもヘッタクレもあるかよっ。」
ビーチャはそんな彼を叩き込むように吐き捨てた。
「うっ。」
と目を伏せるモンド。
ビーチャはそれを確認すると、「はんっ」と声を漏らして立ち上がった。
一同を一通り見回しながら、表情を冷まして低い声を発する。
「悪いけど、俺帰るわ。お前らの精神には、、、、」
ビーチャが言葉に詰まる。ちょうど角度的にルチーナとプルツーを視界に捕らえた時だった。
しかし、すぐに「チッ」と舌打ちをして言葉を続けた。
「ついていけねぇよ。」
、、、、と。
言い終ると、忌々しげに振り返り足を前に進めた。
「おいビーチャっ!」
意を決したのか、イーノが抗議の声を上げるが、ビーチャは気にした様子もなく食堂の出口に消えていった。
ちなみにプルツーは、本を読んでいる振りをしながら、その様子をジィっと見つめていた。
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