第一話「へたれ、プルツー」

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 エルが口を挟む。 「何かそれってお姉さんの心境っていうより。お母さんの心境だね。」 ルチーナがクスリと笑い答える。 「ん、そんな所。」 エルの言う通り。確かにルチーナはプルツーを妹としてではなく、母親として見ていることが多々あった。  なにしろ今でもルチーナは、自分が母親にして貰いたかったことをプルツーにしてあげる、という思いを持っているのだから。  この考えはこれからも持っていくだろう。 「でも、ルチーナ達ってホントいい関係だよね。見てて微笑ましいぐらいに。」 「え?」 ルチーナがモンドの言葉にピクリと我に返った。  僅かに笑みを作って続けるモンド。 「多分、悲しいことばかりのこの時代に、ルチーナ達みたいな人間が居ることに心が癒されているんだろうな。  正直、色々とやってくれたプルツーに心が安らぐよ、、、、って」 ここまで言って、不意に表情を崩して口を開く。 「ゴメン、俺。ちょっとカッコつけすぎだね。」  エルが首を横に振る。 「ううん。そんな事無いって、無いって。あたしもそれ賛成だよ。」 「俺、はんた~い。」 その言葉に今まで沈黙を保っていたビーチャが、つまらなそうに手を挙げて彼女の口調の真似をした。  同時に隣のテーブルについていた子供が、親に怒られて鳴き声をあげた。  ビーチャがモンドの顔を呆れた顔で覗き込み、口を開く。 「お前バッカじゃねーの。あの女に心が安らぐだなんてよ。」 「け、けどさビーチャ、、、、。」 言葉を辛そうに返そうとするモンド。 「けどもヘッタクレもあるかよっ。」 ビーチャはそんな彼を叩き込むように吐き捨てた。 「うっ。」 と目を伏せるモンド。  ビーチャはそれを確認すると、「はんっ」と声を漏らして立ち上がった。  一同を一通り見回しながら、表情を冷まして低い声を発する。 「悪いけど、俺帰るわ。お前らの精神には、、、、」 ビーチャが言葉に詰まる。ちょうど角度的にルチーナとプルツーを視界に捕らえた時だった。  しかし、すぐに「チッ」と舌打ちをして言葉を続けた。 「ついていけねぇよ。」 、、、、と。  言い終ると、忌々しげに振り返り足を前に進めた。 「おいビーチャっ!」 意を決したのか、イーノが抗議の声を上げるが、ビーチャは気にした様子もなく食堂の出口に消えていった。  ちなみにプルツーは、本を読んでいる振りをしながら、その様子をジィっと見つめていた。
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