第一話「へたれ、プルツー」

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 プルツーが気にせずに続ける。 「どうせ今日は一晩中騒ぐんだろう? 私はそれまでにいくらか寝溜めしておくよ。」  ルチーナは何か言ってやろうかと思ったが、流石に先程笑ってしまったのが災いして格好の良いことが言えなかった。  しょうがないので、フゥと息を吐き出して笑いの虫を殺すと、 「うん、、、、。分かった。」 とOKした。  一度ルチーナにスッと笑みを漏らすプルツー。その後はビーチャと同じように食堂の出口へ歩いていった。  一方エルは、そんなプルツーの背中を楽しそうに見つめていた。  ルチーナがふと視線を移動させると、先程鳴き声を上げていた子供が、親の胸に嬉しそうに抱きついているのが目に入った。  その時、ふと思いつき、エルに表情を柔らかくして声をかけた。 「ね、エル。ビーチャとの恋のエピソードって有る?」 突然の質問に「ふえっ?」止めを丸くするエル。珍しく、頬を朱に染めてだ。   そして、言い難そうに口を開く。 「やっぱり、気になる?」 「うん。気になる。気になる。」 是非と、こう返事をするルチーナ。  本当はエル達の恋のエピソードを通して、ビーチャがどういう人なのか知りたかったのだが、とりあえここは隠しておくことにした。  エルが、わざとらしい笑い声を上げる。 「うん、うん。やっぱり気になるよねぇ。」 ここまで言うと、急に腕を組んで考え込み始めた。 「話しても良いんだけどさぁ。あたしとビーチャってまだあんまり恋人らしい子としてないんだよねぇ。これが。  ま。お互いの見方が変わっているのだけはよく分かるんだけど。」 「じゃあ、エピソードって無いんだ。」 「有るじゃん。」 ルチーナの期待に応えたのは、横で話を聞いていたモンドだった。  楽しそうに続ける。 「3年前のナビの話。」 エルが「ええっ!?」といった感じで口を開く。 「でもあれってさ、あたしとビーチャが付き合う前の話だー、、、、。」 否定的な口調のエル。しかし、ここまで言うと、パッと明るい表情に変えてこういった。 「でも、まいっか。今シーン的に有ってる気がするし。」 ルチーナが、  シーン的にって、何かな? と疑問を持ったが。エルはそれに気付くことなく3年前の話を語り始めた。 「あたしの歳が、ルチーナと同じぐらいのときにさ、、、、、、、」 第1話おしまい。第二話へ続く。 
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