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「仕方ないだろう。ルチーナ。」
「仕方ないって?」
シャトル内、、、、。
つまらなそうに言葉を発するプルツーに、席に着いたルチーナがちょっとだけからかうかのように返事をする。
続けるプルツー。
「私は相手の気持ちを理解出来ないように育てられてきたんだ。戦闘で敵に同情したり、共感したりしたら本気で戦えないからさ。」
そして、小声でこう付け加える。
「、、、、まあ。殺気だけには敏感に反応できるように育てられてきたけど。」
ルチーナが「成る程ね。」と聞きながら口を開く。
「でも、そう育てられたからって。プルツーはちゃんと相手の気持ちを理解出来るじゃない。」
プルツーが、そこまで無神経な人間には思えなかった。
プルツーが席について答える。
「それはあくまでリアルワールドでの話だよ。私は先の理由で文系の本を読めと言われたことも、読もうと思ったことも無いからさ、、、、。」
ルチーナがそこから先の言葉を理解し、口を開く。
「文章上の人間の気持ちを理解するのが辛いの?」
「まあ、、、、。」
プルツーが渋々といった感じで頷く。
ルチーナは彼女の名を呼び、
「プルツー。」
ほんの少しだけ声を低くして、こう続けた。
「辛いからってさ、このままずっとCマイナスをとり続けるのは少し恥ずかしいかもしれないよ。
いくら他の成績が良くったってね。だから、、、、。」
ここまで言うと、バックの中からガサゴソと先程買ったドクターマンボウを取り出し、妹の手におく。
「辛くならないように、練習しよ。」
予想通りの展開だったのだろう。プルツーが目を点にして口を開く。
「やっぱり、読まなきゃ駄目か?」
「ダァメ。」
ルチーナが子供に言い聞かせるように言う。
まあ、とことん理数系のプルツーがすんなりと読んでくれるとは思っていなかったが、姉としてここは引くわけには行かなかった。
だから、、、、
「シャングリラコロニーに着くまでに、少しぐらい読んでおくこと。よろしいですか?」
この言葉にしばらく考え込んでいたプルツーだったが、『しかたない』といった感じでコクリと頷いた。
「分かった。読むよ。」
ルチーナは笑顔で「うん」と答えた。
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