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「エルっ。」
懐かしさにルチーナがつい歓声を上げてしまう。
プルツーがルチーナの腕に引きずられて、振り返らされた。
ルチーナがふと、とある事を思い出して口を開く。
「あ、でも。ホテルで待ち合わせって言ってなかった?」
「ん~。そうだったんだけど。あたしが早く会いたかったからねぇ。
ちなみにみんなにも付き合ってもらっちゃった。」
ルチーナが楽しそうに後方に向けるエルの視線を追いかけると、、、、。
「モンドっ。イーノっ!」
こちらを見て笑いを噛み締めている、モンド=アカゲとイーノ=アッバーブが居た。
「ルチーナ久しぶり。」
「久しぶり。」
二人の挨拶に、笑顔で言葉を返すルチーナ。
「うん、久しぶり。」
彼らとはキケロ以来で、本当に久しぶりだった。
そして、イーノの隣には、、、、。
プルツーと冷たい視線をカチ合わせる、ストレートのデニムとイエローのシャツを着たビーチャ=オーレグが、、、、。
ビーチャが、目をしかめてプルツーに口を開く。
「いったい何しに来たんだよ。」
「何しに?」
プルツーがクスリと笑い。ルチーナにギューッとしがみつく。
「こ、こら。こら。」
ルチーナが驚いて声を上げるが、プルツーは無視してビーチャに口を開いた。
「お前にルチーナとの関係を自慢しに来たんだよ、バーカ。」
バチッ、バチッ、バチッ、バチッ!
プルツーとビーチャの視線の間に熱い火花が散った。
ルチーナはとりあえず、この二人と自分の間に見えない壁を作り、苦笑しながらエルに尋ねた。
「ね。何でこの二人、いきなりムードが険悪なの?」
この質問に、エルもまた苦笑して答える。
「まあ、プルツーがルチーナの所に行く前に色々あったのは、ビーチャが変な引き金、引いちゃったせいだから。」
あ、なるほど、ね。
ルチーナはエルの説明と、先の「自慢しに来たんだよ」という発言を結びつけて、プルツーが何故「訳有り」と言ったのか理解する事が出来た。
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