抄太からのメール

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「……え、…今…から?」 急に抄太から、びっくりするようなメールがきた。 メールの内容はというと、“ご飯作りすぎたからきて”といった俺の都合も考えてなさそうな内容で。 「……今からご飯なんだけどなぁ…、」 「…どしたの?准々、」 抄太のことだから、今すごく不安で…寂しくなってるんだろう。 普段の抄太なら、俺の都合聞いてくるしね。 「……准々?」 「…姉ちゃん、家帰ったらご飯食べるね」 「なんでよ?…片付けるの私なんだからね?」 「……抄太が、呼んでる」 俺は席を立ち、姉ちゃんにそう言った。 「…抄ちゃんならしょうがない、」 姉ちゃんは呆れた顔をして、俺にオカズを一品タッパーにつめて持たせてくれた。 「…姉ちゃん?」 「抄ちゃんにこれ食べさせてあげたら許してあげる、」 「……ありがと、姉ちゃん」 俺は姉ちゃんから預かったタッパーを持ち、急いで抄太の家に向かった。 抄太…一人で泣いてないといいな。 「…ついた、」 俺は息を整え、抄太の家のインターフォンを鳴らす。 はやく、元気な抄太の顔をみたい。 「……ほんとに、来ちゃった…の?」 「………抄太、」 ドアを勢いよく開けた抄太は俺を見て、泣きそうな顔をした。 なんだか…母親の帰りを今か今かと待ちすぎて、不安になった子どものようだった。 「………抄太、姉ちゃんからおみやげ」 「……なんで…来ちゃう……のぉ」 「抄太大丈夫?何か…あった?………寂し、かった?」 「ばかぁ…、寂しく…なんか」 泣き崩れそうな抄太を手で支え、背中をさすってあげた。 すると抄太は、俺に抱きついて震えた声でこう言った。 「……蓮哉っちと…ご飯一緒する約束、したのに…、無理なった……って」 「…………倭澄のやつか…、」 倭澄も晩ご飯とかはいつも一人だから、たまに一緒にご飯してるって…知ってた。 でも、なんだか少し…悔しく感じた。 ……それは我慢、しなくちゃ。
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