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とある夏の日の事だった。
とある青年は、いつも通りの学校帰りに楽器屋に寄り、エレキギターの弦を買って帰る途中の事だ。
ちなみに彼の見た目としては、白のワイシャツに緑のスラックスに緑のネクタイと、学校の制服だ。
身長はそこそこ高い。175あるなしといったところだろう。体系はスラッとしている。
顔立ちは野性的でそれなりだが、飛び抜けたイケメンとまでは言えない。
「ん?何だあれ?」
その彼の目の前で、少々見逃せない光景が目に入った。
眼鏡を掛けた、あまり目立ちそうにない美少女が、不良っぽい青年に絡まれていた。
彼女の服装を見たところ、どうやら同じ「早乙女学園」の生徒のようだ。
何をやりとりしているかまでは聞こえないし分からないが、遠目からみた感じは、まあ何とも古い絡み方であるといえる。
それに男は後ろに置いてある車も自慢しているようだ。
見たところ車は赤のポルシェ。型式までは分からないが、フォルムからして新型であることは間違いないだろう。
「やれやれ…」
余り見過ごしたくはないが、無関係の少女だし普通に通り過ぎようとすると、この兄ちゃんが絡んできた。
「おいコラ待てやテメェ。アレだけジロジロ見ててどういうつもりだ?」
「…アアン?」
しかし、関係ないのに絡まれた彼としてはたまらない。怒りのボルテージが上がっていく二人。
そんな中…
「どこ見てんだテメェ、テメェの相手は俺だろうが!」
「ンだとォ?グホァッ!?」
と、絡んできた兄ちゃんがいきなり吹っ飛んだ。
「な…?」
彼としては突然の状況に対応できずにいた。
わかったのは、絡んできた男が吹っ飛ばされたこと。
そして、吹っ飛ばしたのは少女の足だということだ。
「いきなり伸びてんじゃねぇよ。つまんねぇ」
さっきまで大人しく絡まれていた少女がいきなり態度を豹変させたのには、青年も驚かずにはいられなかった。
二人は呆然としたか、そのままそこに立ち尽くしていた。
これが音楽青年「神崎 祐一」と、多重人格少女「月斗 素子」のファーストコンタクトだった。
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