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そして、スコールはその騒ぎの中心に駆け寄ると大きな声で叫んだ。
「やめろぉ~!この少女が悪い訳じゃない!憎むなら戦争を憎め!この女の子だって戦争の被害者だ!」
急に騒ぎに割って入ってきたスコールに少女を含め皆が驚いた様子でスコールをみている。
「…そいつらが戦争なんか仕掛けなければ戦争なんか起こらなかったんだ!人間のくせにエルフの味方なんかしやがって!」
すぐに周りからスコールに罵声が飛ぶ。
「バカ野郎!大体エルフがいなければ今お前らが平和な暮らしをする事なんか出来なかったって事くらい知ってるだろ!」
そう…大戦が英雄達によって終わったあと人間と各種族の間に立って和平を進めたのがエルフ族だった。
もともとエルフ族は温和な気質の種族で戦いを好まない種族である。
そのエルフ族ですら一部とはいえ大戦に参加した事を考えれば当時、人間と他種族の間にあった溝は相当なものだったのは明らかだ。
エルフ族が大戦の終結時に英雄達と供に和平交渉を進めたからこそ…今の平和があるといっても過言ではなかった。
「そんなの知ってるさ!でも俺達はエルフと一緒に楽しくお勉強なんか出来ない!」
周りから声がとぶ。
周りも同じ意見のようだった。
たしかに大戦が終わって5年が過ぎたといえ、お互いの溝はそう簡単に埋まるものでは無かった。
人間は他種族を殺し…他種族は人間を殺したのだから…。
スコールは少しあきれたように周りにいった。
「じゃあ、お前らにはこの学園は最初から向いてねぇ!今からでも他の学校に転校したらどうだ?」
周囲がざわつく。
「どういう事だ?」
「知らないのか?この学校の理事長…いや光帝アメリア・コーネリアスはエルフ族だぜ?」
周囲が更にザワつく。
エルフ族の少女も驚いた顔でこちらをみている。
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