アメリア魔法学園

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「最後に、これから三ヶ月間のクラス分けですが…今皆さんが座っている席の通路で区切られた一区画を一クラスとします。」 そうキスティーが言うと、フレアとシルフィが露骨にイヤな顔をしているのが見えた。 そして…ロザリオの輝いた瞳も…。 「でわ、明日は本校は全休となりますので明後日からが本格的な学園生活の始まりとなります。まだ、教科書など揃えていない者は明後日までに準備しておいてください。これで、私からは、以上です。続いて今日は特別にアメリア理事長から挨拶があります。」 そういってキスティーは教壇を降りた。 大講堂がザワザワとしだした。 アメリア・コーネリアスは滅多に顔を見せない事で有名だからだ。 更に、入学式で挨拶するなど前列がないからだ。 しばらくすると教壇の脇にある階段を一人の金色の長い髪に大きく縦に長い耳そして透き通るような白い肌のエルフがゆっくりと上がってきた。 周囲が更にざわつく。 アメリアは教壇に立つと静かに、そして優しくしかし、力強く話し始めた。 「皆さんはじめまして、アメリア魔法学園理事長アメリア・コーネリアスです。皆さんの中には、驚かれた方も…イヤ大半の方々が驚かれたかと思いますが…ご覧の通り私は《エルフ族》の生まれです。皆さんの中には先の大戦でエルフに対してわだかまりを持たれている方もいらっしゃると思います。」 アメリアが話しはじめると、静かにうつ向く者、困惑する者、あからさまに嫌悪感をあらわにする者、色々な反応が大講堂を包んだ。 アメリアはそんな様子を観察しつつ話し続けた。 「わだかまりを持つ事は、決して不思議な事ではありません…先の大戦で、エルフは人を殺したのですから…。」 そうアメリアがいうと大講堂は一気にざわついた。 「そして私は、そのわだかまりを責める気持ちもありません…。少なからず私にも、人間を憎んだ事がありました。」 さっきまでざわついていた大講堂が急に静かになった。 「しかし今日、私は皆さんに誓います。私はこの学園の全ての生徒を愛すると…私は皆さんの入学を心より喜んでいます。」 アメリアが言い終わると、キスティーが拍手した、それにつられて生徒達も拍手しはじめた。 拍手が一段落するのを待ってアメリアはまた話し始めた。
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