スコール・ミーティア

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スコール・ミーティア

カッカッカッ…。 蒸せかえるような熱気が漂うなか…一人の少年がこの街で一番巨大な建物へと続く一本道を歩いてくる。 一見、威圧感すら漂うこの建物だが、周りには市場や公園などが広がっており、子供の声や市民の雑踏の声で平和な街を見守っているようにも見える。 その建物こそ、王室、ギルドにならぶ三大権力の一つ「大地の守護者」の本部である。 そして…そこに今向かって歩く少年こそ「スコール・ミーティア」 またの名を「正義の番人」…かつての英雄である。 その少年は、熱気を防ぐためか、人目を避けるためか頭から漆黒のローブを被り、ゆっくりと建物へあるいてゆく。 ローブに隠れて顔ははっきり見えないが…幼いながら端正な顔をした美男子なことがうかがえる。 本部の建物の入口まで少年が来ると、銀で出来た鎧をつけた門番らしき男が少年に声をかけた。 「坊や、なんの用かな?困った事でもあったかな?」 優しい声で聞いた。 「カイル…カイル・ギルティアに会いに来た。」 そう少年が言うと門番の顔が少し曇った。 「カイル様…あのね坊や…カイル様に憧れるのもわかるが、カイル様はとても忙しく…坊やに会っている時間がないんだ」 門番は申し訳なさそうに言った。 カイル・ギルティアは大戦の時に英雄と供に戦った人間で、今は「大地の守護者」の本部長を努めている。 その物腰の柔らかさと優しい雰囲気から、市民からも人気の高い人物だった。 ここで少し「大地の守護者」の組織図を説明しよう。
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