戦火の予感

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「まぁあの事件は仕方ないよ…幼体とはいえ一応精霊だからな…それにあの数じゃ仕方ない」 「まぁそうなんだけどよぉ~俺も困っちまって《大地の守護者》に応援求めようかとも思ったんだが、そんな事したらギルドの恥になっちまう…それで、スコール!お前さんに頼み込んだんだ!覚えてるかい?」 「あぁ!」 「そしたらお前さんあっという間に討伐してきただろ?で、その現場に居合わせた同業者の連中がこの酒場でその話しをしたときに《あまりにバッサバッサ簡単そうに倒していたからおりゃ~てっきり死神かと思ったよ》っていったんだ!その日からあんたの事をみんな《赤ローブの死神》って呼び始めたのさ!」 「なるほどな…」 「オッと!そう言えば仕事だったな!今日はどんなのが良いんだい?」 「今日は絶対に引き受け手がなさそうなクズネタを全部くれ!」 クズネタとは、報酬が極端に安かったり、難易度と報酬が割りに合わない依頼の事である。 まだ報酬が安くても難易度が低ければなんとか引き受け手がみつかるが、貧しい農村地帯などに難易度が高い魔物が出没した場合、当然お金の無い農民たちは精一杯の金を用意するが、ギルドのシステムは半分を前金でギルドが受け取り、もう半分を成功報酬として任務を成功させた者に支払うようになっている為に報酬の額が酒場で一杯の酒代にもならないようになってしまう事がある。 そうした依頼をクズネタと呼ぶ。 ちなみにギルドはあくまで、依頼を受けてその依頼を更に受けてもらえる人を探す仲介業者なので、例え依頼を受けてくれる賞金稼ぎなどが見つからなくてもお金が元の依頼者に返金されることは無い。 「全部?どうしたんだい?俺達は助かるからいいが…」 「今度、学校に通う事になってね…しばらく忙しくなりそうだから…今の内にと思ってね…」 「スコールが学校ねぇ~もうそんな年かぃ?5年前に突然現れた時も驚いたが…5年なんてあっという間だなぁ~」 「おじさん、昔話しはいいから依頼!」 「今日くらいクズネタじゃなくてまともなのやったらどうなの?」 「いやっマトモなのはいくらでもやり手がいるだろ?だから俺はクズネタでいい!」 「わかったよ!じゃあちょっと待ってて取って置きの出してくるから…」 そういって男は、カウンターの奥の部屋に入っていった。
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