戦火の予感

16/28
前へ
/146ページ
次へ
そして次に入って来たのは、《氷帝 ミリア オスティア》だった。 黒く長い綺麗な髪をもち、青白い目をもった女性である。 一見無表情で冷たささえ感じるが、隊員達を見ると優しい笑顔を見せた。 その透き通るような青さのマントを来た女性はその美しく若い姿と裏腹に近寄りがたい巨大な魔力を放って隊員達の目の前を通り過ぎた。 従者は青色の弓兵の出で立ちに、大きな弓を持ち彼女にピッタリと寄り添うように付いていった。 少し経つと黒いローブを深々と被った上に漆黒のマントをつけた真っ白な髭を腹まで伸ばした老人が現れた。 本部のロビーが一瞬にして異様なオーラに包まれる…隊員達の中には小刻みに震えている者もいる。 それほど異質な禍々しい魔力…《黒帝 マーリン》である。 そして付き従う従者達もまた、漆黒のローブに身を包みサイズと呼ばれる大鎌を持って、まるで目に見えてるのに見えなくなりそうな薄いオーラでそっと後ろに付いている。 その禍々しい魔力は、老人がロビーからいなくなってもまだロビーを漂っていた。 そんな空気を清々しいオーラが打ち消す。 続いて現れたのは《風帝 フィン マックンルー》。 獸人である彼は2m近い大男でありながら、敏捷性を感じる柔らかな足取りで歩いてくる。 良く手入れされた茶色の長い体毛は、清々しささえ感じさせる。 彼の来ている緑のマントは彼が歩く度にヒラヒラと風に吹かれた様に後ろに舞う。 従者は緑の鎧に長槍を持ち彼を守る。 彼らの清々しくも、毅然としたオーラは今まで緊張のしどうしだった隊員達の目に安らぎと敬意の念を植え付けたようだった。 そして 次に登場したのは、《無帝 サムエル ファウスト》である。 グレーのマントを着けた金髪の髪を耳元くらいまで伸ばし銀縁のメガネを掛けた細身の男は《八帝》というより《博士》と言った方がしっくりくる知的なオーラを出していた。 だが、彼もまた膨大な量の魔力を漂わせて、彼が八帝であることを証明していた。 彼の従者はグレーの鎧をつけ、手には鞭を持ち彼に従っていた。 そして、他の帝に少し遅れて七番目に入って来たのは《炎帝》だった。 アメリア魔法学園生徒としてではなく、《炎帝 フレア・バトン》として入って来た彼にいつもの、軽い雰囲気は無かった。 そこにいるのは紛れも無く《大地の守護者》No.2である《炎帝》であった。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2012人が本棚に入れています
本棚に追加