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これで《八帝》は全て揃った事になる…残るは…《総帝》…。
《大地の守護者》の頂点に君臨する者を待つばかりになった。
隊員達も更に緊張感の度合いを深めた。
自分達の頂点…最強最高の存在…その二つ名以外は顔はおろか名前すら知らない存在…。
嫌でも胸は高鳴り、手は震え、背中に冷たい汗が流れる。
そして隊員達にも解っていた…それほどの存在が八帝を緊急に呼び出さないといけない事態が起こっている事を…。
そして…自らもまるで遠ざけるように近付かなかった、この本部に赴かなくてはならない程の事態が起こっている事を…。
そしてこの場にいる隊員達一人一人が、自分達の《大地の守護者》としての使命、責任を再確認していた。
スコールが八帝達を正門から登場させたのは、実はこれが狙いだった。
スコール…いやっ《総帝》は、優秀な戦士であると同時に優秀な指揮官でもあった。
総帝達を正門から入場させる事により、隊員達に事態の深刻さ…そして重要度を理解させ、精神的な準備をさせ、八帝達の力量を垣間見させる事により隊員達を強く勇気ずけ鼓舞する。
そうする事で、これから起こるであろう不測の事態にも隊員達が一丸となって対処出来るだけの、精神的準備、精神的な自信の裏付けを行なったのだ。
どれだけの時間を待っただろう…隊員達の極限の緊張感は隊員達の時間感覚をも麻痺させていた。
正門の方からカッカツと足音が聞こえ、本部の扉が静かに開いた。
隊員達は直感していた…その者が…《総帝》である事を…。
隊員達は皆、確かに目を開けている…しかし余りの魔力に目が霞んだようにボヤける。
いつの間にかエレベーターの前には《八帝》そしてカイルが整列し膝間付き頭を下げている。
その中には、あの禍々しい魔力を持つ《黒帝 マーリン》もいる…先程、隊員達をあれほど圧倒したマーリンの禍々しい魔力も今の魔力の前では、夏の涼風に等しい。
開かれた扉から、身長も体格も極めて普通の赤いローブを着けた男が入って来た。
顔は仮面を被っており分からないが、時折見える仮面の中の瞳は黒々と光っている。
そしてローブと仮面の間から少し長めの黒髪がはみ出している。
隊員達は敬礼をしない…いやっ出来ない。
余りの魔力に体が動かなくなっているんだろう。
微動だに出来ないでいる…。
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