戦火の予感

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カイルが 「お待ちしておりました、《総帝》様。」 そう言って《総帝》に挨拶すると、隊員達は我に還った様に頭を下げた。 《総帝》は軽く頷くと《八帝》達に囲まれてエレベーターに乗った。 エレベーターが最上階に着くと、そこには大きな部屋へと続く少し長い大きな廊下があり、廊下には先程(八帝)達を護衛しながら一緒にエレベーターで上がった各ガーディアンの隊長、副隊長が警備の為、所々に直立不動の体勢でたっている。 彼等も(総帝)の圧倒的な魔力を前に動けない様だった。 部屋の扉をカイルが開けると総帝を先頭に八帝達が入っていった。 部屋の中には、大きな円形のテーブルがあり、一番奥の真ん中に大きな少し他の椅子より豪華に装飾された椅子が用意され、それを中心に八個の椅子が並べられていた。 八帝達は、自分用の席に着くと総帝が座ったのを確認して自分達も座った。 カイルがお茶の準備などで各席をまわる。 それを横目にスコールが口を開く。 「何年ぶりだろうな?皆で集まるのは…」 少し沈黙が流れた後に、《無帝 サムエル・ファウスト》が、答えた。 「そうですねぇ~。やはり5年ぶりになりますか…」 何人かが出されたばかりの、紅茶をスッと口にする。 カチッカチッ食器の擦れる音が部屋に響く。 「そうか…5年か…気がつけばそんなに時間が立っていたか…皆には迷惑をかけたな。」 スコールが長く《大地の守護者》を離れていたことに対して気まずそうに謝る。 「フッフォッフォッフォッ!な~に5年などお前たち若い者からすれば長いかも知れんが、ワシらの様な老いぼれにしてみれば短いものよ!なぁ~アメリアよ。」 《黒帝 マーリン》が愉快な様子でアメリアに話しを振る。 「あらっ?私はまだエルフからすれば若い方ですが?でも…5年長いのやら短いのやら…ただスコールが無事に帰って来て安心しました。」 アメリアは紅茶を飲みながら答えた。 そんな会話をしていると、カイルが 「では、私はこれで…何かありましたらお呼び下さい。」 そう言って頭を下げて部屋を出ていこうとした。 八帝の集まる会議では、本部長といえども用事が無い限り同席出来ないのが慣例であり、本部長は自ら警備にあたるのが通例である。
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