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オープンベイルのまま、小指で押さえていたスプールから道糸がバチチッと2、3巻き分出る。
重い。良型が約束される音に、頬が緩む。
下に走るのを諦めたクロダイは、キューンという糸鳴りと共に横に走りだす。
左岸際にうっすら見えるシモリ根を狙って居るのか?リールのベイルを戻して、ブレーキを握る。
思い切ってシモリ根方向に竿を振り、締め上げると、一度浮きかけ、慌てて沖に走り始める。
直ぐに右に振り、出鼻を挫く。
左を向こうと言う所で、左上にいなす。
クロダイはシモリ根の沖で姿を見せる程浮いた。
ギラリ。
水面下ギリギリで、我に返ったように反転して潜る。
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