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山の頂上は墓と木で埋め尽くされていた。お陰で地上よりかは幾分か涼しかった。紫苑は汗の滴る紫色の髪を指先で弾いてからある墓の前でバケツを下ろし、水をかけ、供え物を置いた。ジュースにお菓子、そして豆腐。どれも『 』の好物だ。
「暑いな今日は……こんな暑い日は俺達が二キロ位先の川で水遊びをした時以来じゃないか?」
当然返事は返ってこない。だが紫苑の口は止まらない。機関銃の如く話す。
学校の事、両親の事、村に新しく観光名所が出来た事、自分の成績が上がった事、家の前にある焼き饅頭屋の饅頭が十円値上がりした事。
下らない事を話し続ける。そして話しながら涙を流す。うんともすんとも言わない墓の前で、紫苑は泣いていた。
「あとね……最後に言わせてくれ、『兄さん』」
泣き叫ぶ。
・・・・・
「あれはッ!兄さんを殺したのはわざとじゃなかったんだ───────────ッ!!」
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