瑠璃の常

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 自分の部屋で、ナンシーと一対一での勉強を終えたケイオスは、彼女の足元を駆け回りながら、何度も繰り返し、同じ事を尋ねていた。 「ねえねえ。今日は何日だっけ?」 「今日は九月の二十三日ですわ、王子様」  ナンシーは、先刻まで開いていた参考書を数冊、机でトントンと整えながら返す。ケイオスは、相変わらずナンシーの足元を忙しなく駆け回っていた。 「そっかぁ。二十三日かあ」 「ええ。お誕生日は明後日ですわね」  ナンシーは、整えた参考書を机の隅に置くと、嬉々として足にまとわりついているケイオスの頭を優しく撫でた。  そういえば、彼の髪の上半分は銀色だが、耳から下は艶やかな漆黒をしている。ちなみに、ケイオスの両親は揃って金髪。銀と黒の髪を持つのは、一族でもケイオスのみである。彼だけがそうなった理由は、乳母であるナンシーはおろか、実の両親にすら解らない。  とはいえ、彼の瞳は両親から受け継いだ蒼だし、容貌は父親と瓜二つ。彼が瑠璃王家の血を引く王子である事は、到底疑いようがない。当の本人は、自分の髪の色を不思議がる事はあるが、周りが思うほどには気に留めていなかった。 「あさってかあ。あさってになったら、おとうさんもおかあさんも、おしごとから戻ってくるんだよね」
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