君は

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君は,髪も乾かさず上がってきた。 「おいで」 手にしたのはドライヤー。 僕の服はどうやら 君には少し,大きかったらしい。 優しく髪を撫でてやる。 鏡越しに見る君は,俯いていていつもより 小さく見えた。  ざー 君が何も言わないから 僕も何も言わない。 下手な慰めはきっと 相手を傷つける。 「……将(しょう)………」 不意に君が 僕の名を呼んだ。 「ん……?」 ドライヤーの風力を 弱に落とした。
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