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博幸side
「結局、勝田の足取りは不明か……」
俺は電話の相手に言った。
「そうらしいな。森の中に逃げられて、その後が分からないらしい」
そう答えたこの男は浅間陽一(アサマ ヨウイチ)警視庁副総監の任務に就いている俺の親友だ。
俺と陽一は東大の法学部の同期で、陽一に至っては法学部を首席で卒業した事から分かるように高級官僚出身の者が多い浅間家の中でも生粋のエリートだ。
それだけに陽一はかなり真面目で冷静沈着。対して俺は大学時代、休みの日は自分の車で箱根の峠にドリフトしに向かっていた経験があるなど、陽一とは正反対な性格だ。
まさか俺も陽一と親友になるなんて思ってもいなかった。
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