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全員がクジを引き終えたことを確認したレイダスは「注目!」と声を上げる。
「クジを開けろ!」
ようやく見る許可がおり、ウズウズしていた生徒たちはすぐさまクジを開く。
火翼も同じように開き……、
眉をひそめる。
書かれているのは『合格』でも『不合格』でもない。
――あぁ?何だ?
『究極の愚者』と書かれていて、意味が分からない。
「~の〇〇と書かれているはずだ。~に同じ言葉が書かれている人物とペアになれ」
レイダスが声を張り上げて説明をする。
「究極って書かれてる人は挙手してねー」
そう言って手を上げるレクチャーをするのは、青葉だ。
つまり俺のペアは。
――青葉かッ!?
仕方なく挙手してやると青葉が「え、無霧?」と言ってひょこひょことやって来る。
「無霧は…っと……究極の愚者?」
「あはは」と言って笑っている青葉。
青葉のクジには、『究極のボケ』。
人のこと笑ってんじゃねぇ……。
誰だよ、こんなクジ作った奴は!
丁度近付いて来たレイダスに聞いてみる。すると、「ん?ああ、ユリス教官だ」とあっさりと答えてくれる。
ケレン・ユリスを見ると生徒たちの反応を見ながら口元を歪めて笑っている姿が火翼の目に入って来た。
間違いなく、あの人だな。
レイダスの言葉に嘘はないはずだ。
「無霧が一緒だと安心するけど、大変そうだなぁ…」
「おう。頑張って働けよ、青葉」
青葉が頑張ってくれれば火翼は何もしなくて良いはずだ。
「それでは、卒業試験、実技の内容を発表する!」
銃や剣を使った競技。
各競技が10点、全10競技の点数を競うものだ。
屋内の訓練場でも同じことをやっているらしい。
「俺……剣、使えないよ?……無霧……」
申し訳なさそうに青葉に見られ、火翼はため息混じりに「仕方ねぇな」と呟きながら頬を掻いた。
「剣の競技は俺がやってやるよ……」
非常に心配そうに自分を見る青葉に火翼は何だかムカついた。
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