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「だって師匠……士官学校の図書館にある本だけじゃ飽き足らなくて、極秘の文書まで見てたんだろ!?」
きょとんと火翼は男を見る。
「何で……知ってんの?」
「何ィ!? 見てたのか、無霧!? 犯罪だぞッ!?」
教官が怒鳴る。
確かに火翼は極秘の文書を読んだことがある。
そして、その中に魔物の生態について書かれた物がチラホラあったのも覚えている。
「分かるんだよなっ?」
再び聞いてくる男に、火翼は「ちょっと待ってろ」と思い出そうと思考を巡らす。
めんどくせぇなぁ、おい……。
体内で孵化して成長……。肉を食い外に……?
「あっ、あぁ~」
火翼はポンと手を打った。
「外に出て少しだと硬いんだ。目だけが軟らかい」
「サンキュ!」
男は折れた剣を捨て、何も持たないまま矢を射る体勢になった。
バチバチと光が収束していく。
「具現化魔術だと……!?」
具現化魔術は、魔力を使い、何もない場所に自らが想像した物を作り出す、高い技術とセンスを要する高等魔術の一つで、そこらの人間が使えるものではない。
魔族か、魔族に魔力を分け与えられた者にしか使えない。
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