1.動き出す攻防戦?

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「あー……、俺は無霧 火翼。んで、こっちがレイダス・アーウェイ教官……で、これがモブ」 「モブじゃねぇよ、鳩羽十志だってば」という声は無視。 夕霧――火翼はそう呼ぶことに決めた――は、十志を見て微かに眉根を寄せた。 「随分と変わった方がいらっしゃるようですね」 一方、十志は夕霧を見て照れたように笑った。 それを見た火翼は首を傾げる。 「何? 知り合いか、モブ?」 モブという言葉でピタリと十志の動きが止まる。 「火翼さん? だからオレ、モブじゃないって。知り合いじゃないし」 「ええ、私も彼は知りません」 そう言って頷く夕霧の眸は厳しい。 まるで知っている奴を見つけたのに中身が知らない奴だった、みたいな眸だ。 火翼はあえて聞かないが、 「……ですが、知っている魔力のようです。おかしいですね……、私の知っている方はまだ誰にも力を分け与えていないのですが」 夕霧は勝手に話し出す。 「まるで時代が違う方と会っているようですね」 十志の眉がピクリと跳ねたのを火翼は見た。 「時代が違う? それはオレが禁忌を犯してここにいるって言いたいのかよ、夕霧さん?」 十志の声が少し低くなり、夕霧を責めるような口調になった。 魔力を使って、時空を移動することは禁じられている。 禁忌を犯した場合、それが誰であれ死罪となる。 そして、魔術が使える者――主に魔族――を、証拠もなく、禁忌を犯したなどと疑うことは誰であっても許されはしない。 彼らのプライドはとてつもなく高く、余計な争いが生まれるのを防ぐためだ。
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