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ズルズルと引きずり込まれる赤髪の少年がどこか余裕のまま、暗い眸で笑った。
「覚えてなよ……。ボクは再びキミたちを殺しに来るから」
穴が塞がっていく。
「ボクはザキラス。魔物の王、ザキラスだ!」
………。
………………。
火翼はぺたんと地面に座り込んで、ホッと息をついた。
「アレがお前の力か」
凶悪な顔で見下ろす霧雪蒼牙に火翼はギクリとする。
――殺される……っ
「……お前の力に助けられたな」
言っている言葉は感謝のようだが、声に感情がこもっていない。
火翼は霧雪蒼牙の言葉に首を傾げる。
……助け、た?
いやいや……あれは霧雪蒼牙がおれを投げただけじゃ……?
絶対おれを殺す気満々だったし。
実際、火翼は何もしていない。
「だが……」
そう言って、霧雪蒼牙が不思議そうにしていた火翼の額に触れる。
「その力は災いとなり得るものだ」
「抑えさせてもらうぞ」と霧雪蒼牙が言った直後に火翼の記憶は消えている。
――アレガオマエノチカラカ――…。
一体どんな力だと言うのだろう……?
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