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「ま、だ……まだいいじゃん!」
急に声を上げた私を皆が不思議そうな顔でみた。
でも、そんなこと気にしないくらい私は必死だった。
「ね、まだ此処にいよ?私、皆のこと知りたいし!……そう!!だから、まだいいじゃん!!お酒飲もうよ!」
皆が残れば私も此処にいていいかも。
そんな期待で私は駄々をこねた。
思い出すのは父。
そして、迫ってくる水。
家に帰りたくない。
そして……
死ぬのが怖い。
「お願いだから……、残ってよ……」
そう言って、近くのお兄様を掴む手は震える。
溜まり場が静まり、私の悲痛な声だけが響いた。
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