吹き抜ける群青とすり抜ける鮮血

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大沢さんを見送った後、僕も屋上を後にする。 今日、晴香が屋上に来るような気配はなかったし、やはりそんな簡単に未来は変わったりはしないのだろうと思ったからだ。 あれだけ部活で動いた後にまさか自殺を図ろうとは思うまい。それに、部員たちの目もあるしな。 晴香が自殺を図るのはやはり八月一日なのだろうと当たりをつける。 屋上を出てグラウンドを眺めると晴香が楽しそうに部員たちと話しているのが遠目に見えた。 その光景を見てほっとしている自分がいることを自覚する。 真夏の日差しが照り付けるアスファルトの上を歩きながら考える。僕はどうしたらいいんだ? その疑問の答えが出ることはない。僕は何をすれば晴香の自殺を止めることができるのか。具体的な方策がまったく見えてこない。
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