よろず屋本舗

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 ここはよろず屋本舗、この世の中のあらゆる商品を取り揃えています。  あなたはどのような商品をお探しですか?  申し遅れました、私は店主のクリスと申します。今日もお客様がお見えになられたようです。 「あのう、才能が解るものありますか?」  少し おどおどしたセーラー服の女性だ。 「才能、ですか。」 「私は高二になりますが、何の取り柄もありません。勉強もスポーツも出来ない。話もおもしろくない。無論音楽なんて。他の人達は自分の進路を決め始めているのに私だけ。私だけ取り残されている気がして。」 「自分のやりたい事なんてなかなか見つかるものではありませんよ。」 「でも私、変わりたいんです。何も出来ない自分から何か出来る自分に。」 「人は皆何らかの才能を持っていますが、それに気づいて才能を開花出来る人は僅かです。でも今の世の中で成功しているのは必ずしも才能のある人達だけとは限りません。自分を信じ抜いた人達だけが成功する。私はそう信じます。あなたは自分を信じ抜く事が出来ますか?」 「わかりません、今の私には。」 「今はわからなくていいんですよ。こちらをどうぞ。」  私はミルクティーを差し出した。 「少しお待ち下さい。」  私は奥の方から何も芽を出していない鉢植えを探し出し、彼女に渡した。 「これには何の種が植えてありますが何がなるか私も知りません。ですが、信じて育てていればきっと何かがなるでしょう。ひとつだけ教えますが、注意深く毎日観察して下さいね。毎日同じ日は1日もないのですから。人生もまた同じようなものですが。」 「わかりました。毎日観察してみます。」  彼女は鉢植えを持ち帰った。彼女の事を再び知ったのは数年後のことだった。雑誌に彼女の美術賞の入選の記事が載せられていた。  彼女は毎日あの鉢植えを観察していたらしい。そして絵を描くようになり知人の勧めで応募したところ入選したらしい。  彼女は画家として大輪の花を咲かせるだろう。彼女が自分自身を信じ抜いていけるかどうかだが。
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