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ここはよろず屋本舗、この世の中のあらゆる商品を取り扱っております。中にはこの世の物ではない物まで……。
申し遅れました。私は店長のクリスと申します。
あなたはどのような商品をお探しですか?今日もまたお客様がお見えになられたようです。
三十代前半の美形だが少し化粧濃いめの女性が来店した。酔っているのか足元がおぼつかない様子でクリスにからむように話し掛けてきた。
「運命の赤い糸が見える物ないの?」
「赤い糸ですか?そのようなものに頼らなくともあなた様なら選り取り見取りでは?」
「余計なお世話よ!あなた、よく見たらいい男ね。私なんかどう?」
「いえ、私はまだそういう身分ではございませんので。」
「好みじゃないなら好みじゃないってハッキリ言ったらどお!フン!」
不機嫌そうに彼女は店を後にした。だが翌日、今度は酒を飲まずに来店してきた。
「昨日は私大変失礼な事をして……。」
「いえ、私こそ失礼をしました。」
彼女は今までに多くの出会いをしてきたが上手くいかず、何か出会いが上手くいくものはないか尋ねてきた。
「なかなか難しい注文ですね。えーと、確か…。」
私は知り合いのエステの無料券があることを思い出し、それを彼女に渡した。
「まずはリフレッシュして来て下さい。」
数日後少し顔色の良くなった彼女に化粧品の試供品を手渡した。
彼女は少し困惑した表情したが私はこう付け足した。
「これは魔法の化粧品です。ですがたった一度しか効果はありません。ですから本当に自分が求めている異性に会うときに使用して下さい。その時は心からの笑顔でお願いしますね。」
半信半疑のまま彼女は帰った。
数ヶ月後彼女からの手紙には写真が同封してあり、そこには彼氏の横に恥ずかしそうに立っている飾らないない笑顔のきれいな女性が写っていた。
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