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そのせいで時々男達から反感をかった事もあったがいつも楓が傍に居てくれたから乗り越えてこれた
楓が傍にいてくれたら私はどんな事でも乗り越えていける、そう思えた
なのに…………
バチンッ!
「…白夜を……悪く……言わ……ないで!!」
私は訳がわからなかった……
楓が私の手を弾いた?いつも私の味方をしてくれた楓が?あのいつも私の傍にいてくれた楓が?
私は叩かれた手よりも心に大きな衝撃を受けた
楓は数秒私を睨んでいたが直ぐにさっきの男を連れて教室から出ていってしまった
と、此処で最初に戻る
「……………………」
私はまだその場から動く事が出来ずにいた
教室には他の生徒はもう全員帰宅してしまったらしく私しか残っていない
ブ~ッ!、ブ~ッ!、ブ~ッ!
「!!……な、なんだ携帯か」
余りにも感傷に浸り過ぎて自分の携帯のバイブに驚いてしまった……ちょっと恥ずかしい
でもそのお陰でほんの少しだけ気がはれた
カチャッ
連絡をくれた人に少しだけ感謝して改めて自分携帯をポケットから出し開く
「…………っ!!」
だが開いた携帯のディスプレイを見た瞬間、その気持ちは無くなり、さっき少しだけはれた心に更なる雲がかかった気がした
『着信 お父さん』
こいつ……こいつこそが私が男嫌いになったきっかけを作った張本人
ピッ!
私は震える手で携帯の通話ボタンを押す
『おいっ、テメ~!!何時まで道草くってやがんだ!!さっさと帰って俺の飯を作りやがれ!!』
携帯から聞こえて来たのはとても低く、荒々しい声
「はいごめんなさい、すぐ帰ります」
『たくっ!!これ以上俺を待たせたら…………わかってるな?』
「……っ!はい」
『後1時間だけ待ってやるからそれまでに帰って来いガチャ』
「……………くっ!」
電話が切れた瞬間、私はぐっと下唇を噛み、懸命に泣くのを堪える
また、あの家に帰らなければいけない……そう考えるだけで私の心は簡単に曇る
いつもならばギリギリまで楓が居てくれてなんとか堪える事が出来た、でも今日は居ない………考えてみれば楓との初めての喧嘩だ
楓は優しい、いつも私に優しく接してくれた
そう『あの日』も………
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