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なんていうか…本当に温かくて懐かしい感じだった。
料理はどれも今まで食べたことがないほどおいしかった。そしてこれはなんと一文字先生…じゃなかった『むつきママ』が一人で作ってくれたらしい。
「お味はどうですか?」
と不安げにむつきママは聞いてきたけど、俺は正直に
「すごくおいしいよ。」
と答えた。 するとむつきママは
「これからは私たちが交代でご飯を作ってあげますからね♪」
と言ってくれた。
とてもおいしい夕食が済むと、むつきママはみんなにお茶を出してママ自身は台所へ後片付けをしに行ってしまった。俺はむつきママを手伝おうとしたんだけど、他の4人のママたちに質問責めにされて行くことができなかった。
しばらくして質問の勢いが弱まったので俺は改めて聞いてみた。
「先生…ママたちは、なんで俺のママになろうなんて思ったの?」
「私はね、あなたが保健室に来た時にちょっと気になることがあったの。それでね、あの後すこし占ってみたのよ。そうしたら、なんとあなたが不幸を呼び込みやすい体質だってことがわかったの。 あ、私の実家は神社でね、よく当たるのよ?」
「不幸を呼び込みやすい体質…?」
「そう。このままだと余命1年ってところじゃないかしら。でも安心して。私がママになったからにはあなたを救ってみせるわ!」
「あ、ありがとうございます…」
「んもぅ『ありがとうございます』は無いんじゃないの?親子なんだから敬語は無しよ?」
「うづきはねぇ、なりたかったから!」
「はい?」
「うづきはキミにHAPPYになってほしかったの。だからうづきはママになろうって思ったの♪」
「ありがとう、うづきママ。」
「俺はお前に温かい家庭ってのを教えてやりたいんだ。俺ん家は兄弟も多くて賑やかでさ。それで、その中心にはいつも母さんがいたんだ。だから、俺は母さんが俺にしてくれたみたいにお前を幸せにしてやりたいんだ。」
「さつきママ…こんな息子だけどよろしく」
「…私は…あなたの話を聞いたときに、あなたを庇護したいと思いました。…この感情がなんなのかはわかりませんが…もし…これが母性や愛というものならば…それに従うことにしました」
きさらぎママが言い終わった所でようやく片付けを終えたむつきママが戻って来た。
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