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情事の後のぐちゃぐちゃのまま、
ベッドの縁に座る。
シンとした空気。
藤原は俺の方を向いて、
こめかみにキスをした。
「……俺、怖いんや。」
そっと呟く。
「死が迫って来るのがわかんねん。」
掴んだ手は震えていて。
「もしかしたら明日死ぬかもしれん。一週間後かもしれん。死ぬのはわかんのにいつ死ぬかは分からんねや。」
「井本と離れるんは嫌や。一人は嫌や。」
「死にたくない。」
初めて藤原の本音を聞いた気がした。
それは
一言の単純で、
叶わない願い。
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