.05

2/4
前へ
/59ページ
次へ
情事の後のぐちゃぐちゃのまま、 ベッドの縁に座る。 シンとした空気。 藤原は俺の方を向いて、 こめかみにキスをした。 「……俺、怖いんや。」 そっと呟く。 「死が迫って来るのがわかんねん。」 掴んだ手は震えていて。 「もしかしたら明日死ぬかもしれん。一週間後かもしれん。死ぬのはわかんのにいつ死ぬかは分からんねや。」 「井本と離れるんは嫌や。一人は嫌や。」 「死にたくない。」 初めて藤原の本音を聞いた気がした。 それは 一言の単純で、 叶わない願い。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

281人が本棚に入れています
本棚に追加