9人が本棚に入れています
本棚に追加
僕らが住む部屋の目の前に行き、ポケットからカギを取り出す。
今朝、不動産屋からもらったものだ。
「ホラホラ!早く入ろうぜ!」
と、隣の勇の一言
……ちなみに口調はこんなんでも、歴とした女の子である。
僕ら二人は同じ田舎から出てきた訳だが、田舎から離れた高校に進む事になり、今日からこのアパートに住む事になった。
「こーゆー家は好きだよ!アタシは――
な~'あゆ'はどうだい?」
僕の名前は緋瓦 歩
(ひがわら あゆむ)
「うん。いいと思う」
10日後に私立清風学園に通う事になる。
早いうちから現地で住む訳である。
つまりは前乗りだ。
勇が開けろと急かすものだから、感傷に浸る間も無くカギを開ける。
中の間取りは1K6畳和室と二人で住むにはやたら狭い。
元は僕一人で6畳の部屋だったんだがアイツが同じ学校に進学することが決定したから、家賃折半で同居するわけである。狭苦しい。スゴく
「あ~僕1人なら広い部屋なのにな~」
軽い皮肉も交えて勇に毒付いてみる
「家賃も折半だからさ、勘弁してくれよ!な?」
僕に合掌して謝ってくる勇
――分かってた
予想通りの答えが返ってきた。
長年の付き合いだ。
男友達みたいで遠慮しなくていい。
最初のコメントを投稿しよう!