春眠暁を覚えず

10/33
前へ
/65ページ
次へ
「え?あぁ、ははは…なるほどねぇ―。覚えて無いわけだ」 男は愉快そうに笑って、勝手に納得している。 (何か意味分かんない人だな。ちょっと不気味だし…あぁ、でも部屋が暗いせいかな?) 俺はベッドからゆっくり降りてスイッチの前に立った。 男はやはりこっちを見ている。 「あ、あの。電気付けますね…」 「え、ちょっ!ちょっと待て、お前!!」 伸ばした指が急にスイッチから引き戻される。 それどころか、体まで後ろに引っ張られて、男の懐に寄りかかっていた。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

280人が本棚に入れています
本棚に追加