春眠暁を覚えず

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「………!」 「はぁ、危ない危ない…」 ふわ、と香水か何かの甘い匂いが、 首にかかる吐息が、 暗がり、森で、 痛みが…… 「………あ、ああぁ!!うわぁ、あぁぁぁああ!!!」 背筋が凍って、耳鳴りがした。 心臓が跳ね上がった。 男を押しのけた。 窓側に逃げて、ガラス戸を背にした。 (外はベランダ…逃げられない!) 部屋のドアはスイッチの隣。 そこには、男。 もとい、危険人物…! 「ぁ…、あんた、何で……!」 「ようやく目が覚めたのかな?俺のこと、思い出してくれた?」 男は先ほどと寸分変わらない様子で話している。 でも、この男は、 (俺を襲った、張本人だ…っ!) 何が目的なのか。 通り魔にしては可笑しいし、一人暮らしだから人質にもならない。 何が、何が…? 「……大丈夫だよ」 「…は?」 「大丈夫、今日はもう済んだからこれ以上痛いこと、しないし」
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