春眠暁を覚えず

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目が覚めたら、誰もいなかった。 (夢…か。そうだよな、あんな突拍子もないことある訳ないし) 幼いころ、溺れるように童話やファンタジー小説を読み漁っていた時期があった。 そのせいか、今でも迷信を信じていたり、変な夢をみたりすることもある。 きっと、昨日の夢もそれらと同じ。 「………用意、しなきゃ」 まだ頭はボケたまま、にパンをトースターに放って、トマトとハムを冷蔵庫から出した。 適当に朝食を摂ると、制服に袖を通して洗面所へ。 1年と少し、繰り返した一連の動作はもはや無意識でも出来る。 が、洗面所の鏡の前で俺は急に正気に戻った。 というか、戻された。 「え、えぇえ!?何これ!!」 制服の白いシャツから伸びる俺の首に、 (でっかい傷が……!!)
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