春眠暁を覚えず

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そして呆然とした結果。 (ち、ちこ、遅刻!する!!) ぼーっとしてる間に時計は出発時刻の15分先を指していた。 (いつもはっ、歩き35分でっ、5分余裕があってっ、今日は15分遅れてっ、走りで、30……) これじゃどんなに息を切らしても、遅刻は免れない。 遅刻は、 (地獄だ……!) 俺の通う男子校にはいくつか名物があって、そのうち1つが俺の担任兼生活指導の鬼… 泣く子も黙る神川… 神より閻魔だって専らの噂だ。 『遅刻…即ち、死だと思え…』 (どどどどうしよう、うわわわわわわ……) 半泣きになりながらも、とにかく走るしかない。 ああ、俺のバカぁ…っ 「お、やっぱ柴か、この時間には珍しい。どうしたんだ?」 そんな俺の横に自転車が急停車。 少し大人びた声の主は、 「あ!大、宮!!」 俺の部活、美術部の部長だった。
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