春眠暁を覚えず

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坂道はけっこう急で、普段でも少しキツい。 二人乗りなんてもっての他だ。 「はい、ここまでになります。初乗りですんで720円です」 「金取るのかよ!」 「マジで払ってくれてもいいぞ」 大宮はニタニタ笑っていたので、こっちもニマニマしてやった。 「じゃ、また美部でな」 「おう、ありがとな!」 軋む自転車は坂道を力強く登っていった。 時計は朝礼の15分前を指していた。 (よしっ、全然余裕で着く!) 大宮サマサマだな、なんて考えて坂に足をかける。 まわりには俺と同じように歩きの生徒が群を為していた。 全員、男だ。 朝なのにむさい。
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