春眠暁を覚えず

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「ああほら、逃げない逃げない。バンソコ貼るんだろ?」 「かっ噛むなら、逃げたいんですけど…っ!!」 言ってやった。 「噛まないよ」 「う、ウソだっ!」 「本当だって。今は腹減ってないもん。不必要に襲ったら吸血鬼だって捕まるんですよ―」 にまーっとした顔が覗き込んで来て、逃げるタイミングが見つからない。 どうしたらいいか分からなくて、どうでもいいことばっかりが気になった。 「捕まるって、何で」 「ん?吸血鬼には吸血鬼の世界があるんだよ。ヒトとおんなじ、法で統べる吸血鬼の世界がね」 小学生にでも言い聞かせるような言い方でコウモリさんは説明した。 従来の吸血鬼のイメージとはかなりギャップのある話だ。 そのせいか、今は血を吸われないということも何となく納得出来てしまった。 もしデタラメならとっくに噛まれてるんだろうし。
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